#1 笠原将弘のリカバリーストーリー。
Description
日本料理人 笠原将弘さんのリカバリーストーリーです。お客様への想い、一緒に働くスタッフへの想い。毎日様々なことがある中、笠原さんはどんなことを考えているのか? とある日の午後、開店前の準備の合間をぬって、日本料理店『賛否両論』で収録させてもらいました!
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リカバリーストーリーは、様々な人に悩みから立ち直った経験や、日頃のストレス解消法を、自由に話してもらう Podcast(ポッドキャスト)です。初回のテーマは「私のリカバリーストーリー」です。
こんにちは、笠原将弘です。簡単に自己紹介をしますけれども、私は、日本料理の料理人をやっております。東京の恵比寿で『賛否両論』という日本料理屋のお店を経営してまして、今年で21年になります。
全力で仕事をし、お客様に真摯に向き合い、その日に反省し、次の日に違う自分になる。
私の悩みはですね、まあ言い出したらきりがないですけれども、やはりですね、一個のお店をやってると、当然いろんなことが毎日起きますので、やっぱそこが悩みといえば悩みの一番大きいところかなと思いますね。毎日毎日、頑張ってお料理を、美味しいお料理を作っているつもりですけれども、やはりその日の、たまたまお客様の好みに合わなかったとか。まあいろいろな原因がありますよね、その日、たまたまお客様の周りの席がちょっとうるさい席だったとか。そういうことで結局、お客様から「ちょっと行ったけど楽しくなかった」とか、「あまり期待してたほど美味しくなかった」みたいに言われることも当然多々あります。まあ毎日毎日じゃないんですけどもね。たまにそういうこともあります。やはりそういう日は、私も人間ですから、ああ料理人としてちょっと自分の実力が足りなかったかなとか、自分のお店なのにもうちょっとお客様を楽しませる何か術はなかったのかなということで、落ち込んだり、多少の悩みになったりとかしますけれども。そういう時は、私は考え方としては、当然、お客様の意見は真摯に向き合いまして反省はしますけれども、ただ、料理というのは、やっぱり10人いれば10人味の好みが違うと思います。当然、女性なのか男性なのか、若い方なのか年配の方なのか、どこ出身かでもいろいろ好みが変わると思いますので。まずそういう感じで自分に言い聞かせるようにしてます。決して自分は不真面目な料理を作っているわけではない。その日は全力で仕事はしたつもりです。ただ、それがやはり受けない人もいる。やはり万人受けするというのは基本的に無理だなと。世の中に絶対っていうものはないんだなと。そういう風にまず自分に言い聞かせるようにします。そして次の日まで悩みは持ち越さないっていうのをモットーにしてます。やっぱり長く続ける一個の秘訣というのは、反省はしますけれども、ずっーとそれを引きずるって僕は良くないと思うんですね。反省はその日だけでおしまい。で、次の日はまた違う自分になってる。そういう考え方で私はまず行くようにしております。
10人いれば10人味の好みが違うように、スタッフも一緒くたに考えない。
あともう一つですね、やはりお店をやってると悩むのは、スタッフとの付き合い方。やっぱりね、いろんな性格の子がうちも毎年毎年入ってきて、うちで料理の勉強をしたいっていう子がいますから、そういう子達とどう向き合うか。これがやはりすごい難しいなと感じております。やっぱね、怒っても「なにくそ!」と立ち向かって来てくれる子もいれば、ちょっと怒るとシュン…となってしまう子もいますし、ほんと性格がいろいろな子がいますから、その子たちをどうきちんといい料理人にするかっていうのは、本当に日々悩んでおります。やっぱ全員が同じようなことが同じタイミングでできるようになるということもありませんし、その子その子のペースに合わせてやっていかなきゃいけないんですけれども。でもお店としては早く戦力になってもらいたいですし、当然毎日毎日の営業でですね、百点満点のお仕事をしてほしいので、どうしても厳しくあたってしまいますけれども、まあそこをですね、私もどう噛み砕いて説明するか。今の若い子たちはとても素直で、真面目で、僕たちの若い頃に比べたらよっぽどいい子が多いんじゃないかなと思います。なので、まず私は若い子たちと接するのは、もうほんと親子ぐらいの年なんでね、自分のもう本当に子供に接するような感じで接するというのをモットーにするのと。あともういきなり最初からできなくてしょうがない、っていうのを私、自分に言い聞かせるようにしてますし、だから本当料理の好みと一緒なんですよね。すぐにできる子もいれば、なかなかできない子もいる。で、それを一緒くたに考えるのではなくて、やっぱ自分に置き換えて、自分がこのぐらいの年の時だったら、これぐらいはできたかなできなかったかなと、特に自分にこう言い聞かせるようにしながらと。あとはやっぱり、人間というのはいいこともしながら悪いこともしますし、悪いこともしながらいいこともする。もうそういう生き物だと、私は思うようにしております。この例えがいいのかどうかわかんないですけれども、私の好きな小説家の池波正太郎先生の作品によく出てくる言葉なんですけれども、やっぱそう考えると多少のミスは目をつぶってあげなきゃいけないし、自分だってそんな完璧な人間じゃないなと思えば、下の子たちのミスであり、ちょっとした、例えば、寝坊をしたとか器を割ってしまったとか、そういうことも許してあげる気になるというか、とにかく自分にそういう風に言い聞かせるというか、そういう発想法に常にするようにしております。
一度しかない人生、24時間しかない1日、365日しかない1年を、どう楽しく生きるか。
あとは、せっかく自分の好きな仕事が、お店を作るということで夢が叶ったわけなので、とにかく楽しまなきゃ損だなと、そういう風に自分には言い聞かせるようにしております。1年365日、1日24時間、人生1回だけ。これは多分、全人類に割り振られた平等な時間だと思いますんで、そこをどう使うかは自分次第だと思うんですよ。そこをずっと毎日毎日、下の子たちがうまく動いてくれないなとか悩むよりも、多少はこういうミスもあってもしょうがないだろう、とにかく楽しんでやった者勝ちじゃないかなと、楽しむようにね。一度しかない人生、24時間しかない1日、365日しかない1年間を、どう楽しく生きるか。こういう発想法が意外と自分の悩みから立ち直る方法というか、ストレスをなくしてくれる方法なんじゃないかなと思っております。
悪いことばかりでもない。いいことばかりでもない。ちょうど同じぐらい、いいことも悪いこともある。
見方によっては、何でも悪い方向に見えてしまうと思いますけれども、結局いいことばかりの人生はないと思っています。逆に悪いことばかりの人生もないと思ってます。いいことばっかりが続いてる時の方が逆に僕はね、ちょっと不安になったりとかね。「あれ、なんかあまりにもうまく行き過ぎてるから、もしかしたらこの後、なんかとんでもない悪いことが起きるんじゃないかな」みたいなね、心配になる時もありますので。だからそういう発想法も意外といいんじゃないかなと思っております。ちょっと悪いことが続いてる時の方が、「よし、絶対この後いいことが待っててくれてるだろうな。絶対神様はどっかで帳尻合わせてくれるんじゃないかな」と、そういう発想にするようにしております。トータル的に人間っていうのは、全員やっぱ平等にいいことも悪いことも、同じずつぐらいあるんじゃないかなと、そういう発想法で生きております。こういう発想の仕方、「悪いことばかりでもない。いいことばかりでもない。ちょうど同じぐらい、いいことも悪いこともある」という発想法。そしてあとはね、「限りある時間をつまんなく生きるも、楽しく生きるも、自分次第」。あとは、「全員に受けるというものはないんだな。この世に絶対はないんだな」。こういう感じの考え方が、私の悩みなりストレスを、多少解消してくれてるんじゃないかなと私は思って毎日生活しております。以上が、私のリカバリーストーリーでした。ありがとうございました。


















